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シティライフインタビュー
死と向き合い、老いの責任を自ら取ることから始めよう。

介護保険導入から1年。福祉先進国スウェーデンに7年間暮らしてい介護を研究してきた麻植さんは、まだまだ日本の対策は不十分だという。その元凶は「誰かが看取ってくれる」「自分だけはぼけないし長患いしないだろう」といった「甘えた国民性」にあるとズバリ―――。20年後には国民の4人に1人、50年後には3人に1人が65歳以上になる。このままでは年金制度も医療費も確実に破綻する。だったらどうすればいい?「死と正面から向かい合い、ぴんぴんころりと逝きましょう」。

―"ぴんぴんころり"を提唱されていますが。
「日本人の平均寿命は女性が84歳、男性が77歳で世界一。ところが長患いが非常に多い。日本は長生きだけど健康寿命が短い世界有数の"長患い大国"なんです。例えば70歳で倒れると15年も患います。それを介護する介護者の年齢は60〜80代が66%、また介護者の85%は妻・嫁・娘で、夫は10%と女性に押し付けられた形です。介護が長期化すれば、家族はへとへと。私の調査では、なじる、つねる、食事を与えないなどの介護虐待が46%も。これじゃ、長生きしてもちっとも幸せじゃないでしょ?でも85歳まで生活習慣病もなく骨粗鬆症もなく、人と交わって活動すれば、倒れて1週間か、長くて2カ月程度で逝けます。よく生きて、よく死のう、これがぴんぴんころりです」
<日本の高齢化率は現在17.4%で、2020年には25%、2049年には32.3%つまり国民の3人に1人は65歳以上。逆に女性が生涯に産む子の数=合計特殊出生率は現在1.34で、生産人口(15〜64歳)は2020年に現在の2分の1、2049年には4分の1に激減する>

―昨年導入された介護保険では、老後は不十分だと。
「そうです。基金は足りない。ホームヘルパーの養成はできていないし養成する人材もない。在宅ケアを奨励しながらケアに適した家はない。老いは国民全体の問題なのに、保険料は40歳からの徴収でお茶を濁す…。
これまでに少子高齢化を経験したのはヨーロッパ、アメリカの37カ国ですが、例えば北欧のスウェーデンは税率37%で社会保障を整備し、乗り越えました。アメリカは自分のことは自分で守る国ですから、原則として公的介護保険なし。アメリカの友人は夫婦で着き16万円もの保険料を保険会社に支払っています。日本人ははっきり言って甘いですね」
<スウェーデンは一時、合計特殊出生率が1.6まで落ちたが、子ども1人につき出産祝い金30万円、産後休暇1年半、児童手当毎年30万円、育児休暇毎年60日、医療費・教育費無料…などの対策で2.09まで回復。介護は「個」を尊重する手厚い在宅ケアが中心という>

―介護問題に真摯に取り組むのは?
「看護学校を出て京都の病院で1年務めたあと、医療ボランティアとしてネパールへ。陸続きだし、ついでにスウェーデンまで行こうと車を走らせた。1970年代初めで、スウェーデンはどこを向いてもお年寄りばかり。これは日本も大変になると直感しました。そのとき夫に出会い、74年に結婚。7年間スウェーデンで暮らしたんですが、必ず日本の将来に役立つと思い、子どもを育てながら看護婦として働き、大学で猛勉強しました。日本のケア構築は私の使命です」

―いま私たちがなすべきことって?
「まず、正面から死に向き合うこと。植物状態になったとき延命治療を望むか否か、最期は病院で迎えるか自宅かなど、自分の頭で考え自己決定すべきです。それが個の確立、自立への第一歩であり、老人医療費12兆円の半分近くを占める延命治療の見直しにもつながります。
また、自分の老いに責任を持ち、最後まで有意義に生きる努力が大切。スウェーデンのお年寄りは見事ですよ。生涯学び、自立して暮らし、足がダメなら手がある口があるという発想でボランティア活動をしている。私もそれに習って45歳で大学を卒業し、48歳で大学院修士を修了、いま博士論文を執筆中。常にキャリアを磨き、人を大切にし、前向きに生きるのがスウェーデン流です」

―仕事、講演、大学院。何とパワフル!
「何でもやりたがりのハイテンションは生まれつき(笑)。今後10年以内に構造改革・意識改革をしなくては日本は潰れる。だから言いにくいことも言います。ほら、車でスウェーデンまで行ったでしょ。あの途中で兵隊に銃を突きつけられ、おしっこちびっちゃった。あれ以来もう怖いものなし!おっと私の母親以外はね」

文/渡部せつ子

 
シティライフ 2001年6月1日号より
 
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