| 在宅ケア進めるには介護の社会化が急務
―――旧日本専売公社の東京病院高等看護学校卒業後、スウェーデンで外国人向け看護教育課程を終了し、ストックホルムの老人慢性病院で新就職者指導看護婦として勤務した経験がおありですが、日本とスウェーデンの看護婦の職務の違いはかなりありますか。
日本の看護婦は雑用が多すぎて専門職とは言い切れないと思います。食事配膳やベッド運び、そして事務処理に掃除まで、あらゆる雑用をこなしています。
スウェーデンの看護婦はそういうことはしません。病棟には看護婦の外にアシストナース、看護助手、入浴係、運搬人などあらゆる職種の人がいて、仕事がきちんと分業化され確立しています。その中で、看護婦は主に病棟管理、入院患者の生活面でのサポートやコミュニケーションを図る仕事がメーンになっています。
―――最近もスウェーデンを視察してこらまれましたが、いま、高齢者福祉ではどのようなことが課題になっていますか。
福祉にお金がかかりすぎることです。どう合理化して、効率をあげていくかが大きな課題になっています。
さらに痴呆の問題。世界でもトップレベルといわれる介護をどんなに頑張って実践しても痴呆性老人は増えており、いま、人間性を尊重しながらも経済的に負担のかからない対応策を模索している段階です。こうした中で十度の痴呆性老人十人までを一軒の家に預かってケアするグループハウスが効果を上げてきています。同ハウスの家庭的な環境や介護のおかげで、荒々しい痴呆はなくなりつつあります。ただ、これも絶対数が足りず、急ピッチで整備が進められています。
―――わが国でも寝たきり老人ゼロ作戦や在宅ケアの推進など二十一世紀に向け様々な施策が展開されていますが、スウェーデンから学ばねばならぬものがあるとすれば、何でしょうか。
まず、マンパワーの確保という点です。労働環境、経済的保障をきちんと整えて介護分野を社会化する。それをしないと在宅ケアには移行できません。北欧諸国は、それを行政主導型で最初にやったのでマンパワー確保に成功した。家の中で無報酬で行われていた介護の仕事を社会的に位置づけたことで主婦層を福祉、介護の世界に引き込むことができました。
次に医療計画、医療の再編成です。いま日本も過渡期ですが、どこが何をするところなのか整理しないと医療費膨張の問題は解決しません。在宅ケアの核になるところも一つに決めるべきです。
最後に、一般の人々に日本の高齢化社会を乗り切るには在宅ケアしかないことを徹底的に啓発していく。北欧の子どもは小さい頃から施設見学などの体験を通して「老い」を知る。それから老人自身の意識も変える必要があります。日本人は、最後まで自分の力で生きていくという自主性がない。あまりにも高齢化社会を自分の問題として捉えていませんね。
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